自己愛性人格障害の治療:内面に深く共感する

自己愛性人格障害の治療:内面に深く共感する

自己愛性人格障害の治療では、通常の心理臨床より深い共感が必要です。

 

患者が悩みや強い感情を示したときに、治療者が表面的に「私もわかるよ」と返答するだけでは、共感にはなりません。
治療者は自分の内面を省みて、患者が示した悩みや感情に似た真理が、自分の中にあるかどうかを調べてみることが必要です。

 

怒りや不安、子供返りしたしがみつきの気持ちなどを、心の引き出しの奥まで探し、似た真理を見つけ出して、患者の気持ちを実感して初めて、治療に有効な共感ができます。

 

こうした内省力を身につけるために、治療者は、大人の理知的な気持ちだけでなく、子供のときにもっていた原始的な感情を含めて、さまざまな自分の気持ちを整理し、多用な感情を抱えもてるようにしておかなければなりません。

 

治療者はたえず自分の内面に生じる勘定に目をむけ、自分のあり方を自覚しておくことが必要です。

 

自己愛性人格障害の治療を進める上で、患者に深く共感しようとする治療者の姿勢が大切な鍵になります。
治療者が表面的に共感するだけにとどまったり、治療者の共感がうまく患者に伝わらないと、患者は不安や怒りを感じ、治療を中断してしまいます。

 

治療者から共感されていると実感できて初めて、患者は治療者から指摘された自分の問題に直面できる力を得ることができます。
ふつうは共感できないような患者の意見や行動に共感することが、結果的に治療効果をもたらします。

 

ただし、患者への共感は、来談者の言いなりになることを意味しません。
治療者が治療を効果的に進めるためには、患者の幼児的な要求に対して共感しながら、必要なときには要求を満たさない対応をとることも大切です。