自己愛性人格障害の治療:不安は適度に残して

自己愛性人格障害の治療:不安は適度に残して

自己愛性人格障害の治療にあたっては、患者の不安の取り扱い方に注意が必要です。

 

どの程度和らげるかということが大きな問題になります。

 

患者は、治療中にさまざまなことに不安を示します。
治療の初期なら、最初に決める治療の取り決めを通して、現実的な枠組みにはめられることに不安を示します。
面接の時間や曜日を決められ、面接室でしか話を聞いてもらえないという枠組みが、不安を引き起こします。

 

不安があまりに高くなると、その枠を取り払おうとさまざまな行動を起こします。
電話でも面接を求めたり、薬の処方を求めたり、臨時に面接を行うよう要求する人もいます。

 

治療が進むと不安の内容が変わってきます。
今までは人に出すことのなかった怒りや無力感などの感情を治療者に表出することも、不安を引き起こします。

 

不安が高まると、治療を中断したいと言ってきたり、無断で休んだりすることがあります。
特に不安が高い場合は、自殺を図ったり、家出をしたりします。
これらの行動は治療者が患者を心配してくれることを求めて起こしていると考えられます。

 

したがって、治療者は治療過程で患者に生じる不安をある程度軽減しておかなければ、患者は治療に対して防衛的になり、治療者を心理的に締め出してしまいます。
しかし、患者が持つ不安はある程度残しておかないと、患者自身が自分の問題や防衛的なパターンを自覚することができなくなってしまいます。

 

ですので、患者の不安をどの程度残しておくかという加減の取り方は、治療者の経験やセンスに大きく依存します。