自己愛性人格障害の遺伝
自己愛性人格障害は遺伝と関係はあるのでしょうか?
双子の兄弟の一方が自己愛性人格障害であった場合、もう一方もそうである確率を調べたところ、一卵性双生児は二卵性双生児の5倍にのぼったという報告があります。
一卵性双生児の遺伝子は基本的に同じであることから、この結果を受けて自己愛性人格障害は遺伝の要素があると考えられています。
実際、よく似た性格の親子は珍しくありません。
病的な自己愛を持つ人の家族には、やはり自己愛性が強い傾向が見られる場合があります。
親が自己愛性人格障害で配偶者や周囲の人間を振り回し傷つけるのを見て育った場合は、子供はそれを学習し、そのように振る舞いやすくなります。
しかし、人格は、遺伝的、先天的な要素が大きい気質の傾向だけで決まるわけではありません。
環境の影響も大きく受けます。
親が愛情を注いで適切に育てた場合は、自己愛性人格障害にならないことがあります。
さらに、そうして形成された人格が障害として立ちはだかるかどうかは、周囲の状況次第です。
周囲に本人思いの友人や指導者に恵まれた場合、人格障害から脱却することができるでしょう。
以上のことから、遺伝するのは人格を形作る気質や性格の一部であって、人格障害そのものが遺伝するわけではありません。