自己愛性人格障害の環境:社会の変化に伴い患者数が増える
自己愛性人格障害の環境として、社会の変化に伴い患者数が増えています。
現在、自己愛性人格障害を抱える人は増加傾向にあります。その背景には社会全体の変化が潜んでいます。
努力より結果が大事、大きな利益が上がればそれでよい、いつまでも若々しく美しく…現代社会ではこのような「自分さえよければ」「自分が一番大事」という自己中心的な考えが幅をきかせています。
自己愛性人格障害は、こうした時代の空気を如実に反映した極めて現代的なものと言うことができます。
家族の役割が揺らぎ、それぞれが抱える問題を家族で乗り越えていく力が弱まっています。
それも、病的な自己愛を増大させる一因になっています。
現代の日本では、あらゆる面が急速に変化しています。
その多くが、不健康な自己愛を生みやすい土壌を作ることにつながっています。
- 価値観の変化
- 結果重視
- 競争社会
- 人の心の在り方の変化
- 家族の変容
どんなものの価値でも金銭に換算して考え、心より物の豊かさを追い求める傾向が強くなっています。
プロセスよりも結果を重視する成果主義が、職場だけでなく社会全体に広まってきています。
物事も人間関係も、勝ち負けが全てととらえる風潮が強くなっています。
それぞれが孤立感、孤独感を抱えていると同時に、他人への共感性が乏しく、自己中心的な考えを持つ人が増えています。
家族を支えてきた地域のつながりが弱くなるにつれ、それぞれの家族が孤立し、個人を支えにくくなっています。