自己愛性人格障害と双極性障害(躁鬱病)、妄想性障害
自己愛性人格障害と双極性障害(躁鬱病)は、根本的に生物化学的な関連があると言われています。
双極性障害の患者は自己愛性人格障害の診断基準のほとんどの症状をあらわしますが、それは躁の状態の時です。
躁の時は、精力的に活動し、自分の力や能力を誇示し、自信を勝ち得ます。
また仕事面などにおいても成功をおさめます。
しかし、鬱の時の自己愛性は高くありません。
自分に自信がなくなり、何もしたくなくなり、落ち込みます。
これは自己愛性人格障害の人には見られない現象です。
自分が自己愛性人格障害かもしれないと思っていても、鬱の時期が顕著にある人は双極性障害の可能性があります。
また、双極性障害の人は、鬱の時は自殺する危険性がありますので、注意しましょう。
このリスクはうつ病以上だとも言われています。
自己愛性人格障害の人が何度も失敗を経験し、そしてまた否定できないほどの逆境を経験した場合、妄想または妄想性障害に至ります。
一連の出来事は自分の外にあるもののせいだと根底で思い込みます。
自己愛性人格障害の人は、特に考えを修正することはしません。
現実と接触しない、奇妙で歪んだ方向で考えを作り始めます。
自分は圧倒的に優れているのに失敗したということは、他の誰かに悪意を向けられたせいだからだと考えます。
そして、他人の善意の行動に敵意や悪意を見出します。
ひどい場合は、自分の同僚が自分の発見を盗んだなどと妄想します。
こういった被害妄想は、誇大的な自己を守り最悪の没落から防ごうとするものです。
つまり、妄想性の症状とは、敵意ある環境、つまり自己愛者を基本的なところで脅かす敵意ある環境に対する防衛的な適応を示していることになります。