マーラーの自己愛性人格障害
マーラーは自己愛性人格障害は発達の停止であると考えています。
なぜなら、治療する患者の中で、「見捨てられ抑うつ」や「自己の断片化」は、対象への自己愛的な失望によるか、または患者自身の自己表出や個体化の努力によって促進されるからです。
自己表出や個体化の努力によって、見捨てられ抑うつや自己の断片化が促進されるということは、発達停止がまさに生じていることを示しています。
マーラーの分離−個体化理論によると、生まれてから生後5か月までは正常な自閉期、共生期にあたります。
自分と外界の区別ができず、母親に共生している時期です。
そして、5カ月以降が分離−個体期にあたります。
母親への共生をやめ、母親と自分との区別がつき、ついたり離れたりして、最終的には母親像を確立します。
マーラーの考え方によると、適切な発達を経れば自己愛性人格障害にはなりませんが、発達が停止してしまうと不健全な自己愛が生じ自己愛性人格障害になってしまいます。
マーラーは1897年生まれの精神分析学者で、児童精神医学を学んだあと、精神分析学を学びました。
フロイトの精神分析に大きな影響を受け、分離−固体化理論を確立しました。
自我心理学派の一人でもあります。