自己愛性人格障害:距離が縮まると見捨てられないか不安になる
自己愛性人格障害の人には、距離が縮まると見捨てられないか不安になる人がいます。
自己愛の傷つきを恐れるあまり親密な関係を築けません。
思うような評価が相手から得られなかった傷つくという不安に加えて、嫌われるのではないかという不安も抱えているからです。
一般的に心理的距離が縮まると遠慮がなくなるため双方のわがままが出やすくなり、衝突しやすくなります。
しかし、自己愛性人格障害の人においては、この衝突が激しくなってしまいます。
相手が傷ついたり腹を立てたり呆れたりして、離れていくといったことがトラウマになります。
このトラウマを一度経験すると、誰かと親しくなると、これ以上距離を縮めると嫌われるのではないかという見捨てられ不安に駆られるようになります。
心理的距離が縮まれば縮まるほど、見捨てられ不安は強くなります。
そのため、あまり近づきすぎないように距離おいた付き合いをするようになります。
相手に嫌われ、傷つくのを回避するために、一定の距離を保つようになります。
どんなに気の合う者同士でも、深く付き合えば、お互いの考えの相違に気付かざるを得ません。
しかし、自己愛性人格障害の人は、相手に合わせるということができません。
自分と相手との違いを前提に自己をコントロールすることができません。
期待するような反応を相手が示してくれないと勝手に傷ついたり、わがままを言って相手に離れられたりという経験を繰り返します。
やがて関係が深まることを恐れるようになり、表面的な関わりに留めるようになります。