自己愛性人格障害とおひとりさま
近年のおひとりさまブームもまた自己愛性人格障害の増加を後押ししてます。
元来「ひとり」という言葉には寂しさが隠れていましたが、「おひとりさま」と名づけることである意味の開き直りがそこには生まれました。
昔から「ひとり旅」という言葉はあり、多くの人から支持を得ていましたが、この背景には日常生活はみんなと過ごすという前提があって、ひとり旅ではその日常からの解放という醍醐味がありました。
しかし、おひとりさまでは、人と一緒に行動することに慣れてないがためのひとりの気楽さの追求といった側面が強いです。
人と一緒では自分の我侭を我慢し相手に合わせなければならない、それでは嫌だという人の気持ちを具現化した言葉でもあります。
人とあわすのは疲れる・面倒だという気持ちは現代の若者に限らず、昔から誰もが共有してきたものです。
それでも現実では人に合わせ協調することで日常が成り立っていましたが、今の時代はそんなことしなくても自己完結的に日々を過ごすことができるようになりました。
つまり現代社会は、病的に自分が大好きな人が無理せずに生きていきやすい社会でもあります。
このような自己愛過剰な世界から抜け出さなくても何ら問題なく生きていける環境が、自己愛性人格障害の増加を促進していると言えます。