自己愛性人格障害の治療:治療者との不安定な関係
自己愛性人格障害の治療の注意点として、治療者との不安定な関係があります。
自己愛性人格障害の人は、治療者の初期から、さまざまな形で治療者を困らせます。
そもそも、治療者と安定した関係を持とうとしません。
表面的には、治療者によろしくお願いしますと挨拶をしますが、実際には積極的に治療者に関わろうとしません。
言葉のやりとりは少なく、一方的に治療者に話しかけ、治療者の発言には耳を貸しません。
治療者はせいぜいうなずくだけで、言葉を挟むことができません。
ある程度の関係が築けた段階になっても、その関係は安定しません。
あるときには治療者の意見をよく聞いてくれても、次のときはまったく聞こうとしないこともあります。
治療者の態度や会話一つで、治療者を大嫌いという言う日があったかと思うと、治療者を尊敬したり大好きと評価してくれる日もあります。
関係が安定しないため、治療者は振り回され、疲れ果ててしまうことが少なくありません。
患者の不安定な関係のとり方を、治療者が十分に理解しておくことも必要です。
見方を変えれば、患者と治療者が安定的な関係を築くことができれば、ある程度治療が効果を発揮していると考えることもできます。