自己愛性人格障害の治療:逆転移と恋愛
自己愛性人格障害の治療において、カウンセラーや分析家、治療者が、来談者に恋をしていまうことが稀にあります。
実際に来談者と婚約をしてしまったカウンセラーが記者会見をしたこともあります。
こうした治療者と来談者との恋愛的な関係は、逆転移現象を治療者側が客観的に捉えられなかった場合に起こる、いわば失敗例です。
逆転移とは治療者が患者の感情に振り回されていることを指します。
きちんとした臨床家は自分の逆転移を客観的に捉え、恋愛に展開させず、治療の枠組みの中で処理します。
処理できないまま恋愛に陥るのは、カウンセラーや精神療法家の未熟さによるものです。
このように恋愛関係に発展することは、治療者にはもちろん、自己愛性人格障害の患者にとっても良くありません。
治療が適切に進まないからです。
治療者を振り回せたことで良くない感情がエスカレートすることもあります。
治療者も患者が自身の恋人であると適切な指摘ができなくなるでしょう。
カウンセラーや治療者は逆転移をうまく処理できる人であることが重要です。
患者も、カウンセラーや治療者が自分に対して振り回されていたり、恋愛感情を抱いてる場合は、治療者を変えることが望ましいでしょう。