自己愛性人格障害の増加の原因:IT社会の発達
自己愛性人格障害の増加の原因の一つに、IT社会の発達があると言われています。
通信手段の発達は、人間の万能感を刺激します。
手紙しか通信手段がなかった時代には、遠方の人とやりとりするには何日もかかっていました。
数日間かかっていた配送物も、今では速達郵便や宅配便の普及によりほぼ1日で届くようになりました。
電話によって、どんなに遠くにいる相手とでも話すことができるようになったのは画期的でした。
さらにはFAXの登場により、文書も瞬時にやりとりできるようになりました。
何より画期的なのは、インターネットの普及です。
世界中の人々と瞬時に文字や画像のやりとりができるようになりました。
昔なら相手が家を出てしまったら、捕まえることができず諦めるしかなかったですが、今ではIT技術の発展によりどこにいても捕まえることができます。
出先や旅先でも瞬時に文面のやりとりができるからです。
このようなIT技術に代表される科学技術の発展は、かつては不可能だったことを可能にしてくれました。
従来は諦めなければならなかったことを、諦めなくてもよくしてくれました。
こうして人間は現実を思いのままにコントロールできるというような万能感を抱くようになりました。
言い換えると、諦めが悪くなりました。
思い通りにならないことがあると、イライラしてしまいます。
IT社会がもたらしたコントロール幻想が自己愛を増徴させる温床になっています。