自己愛性人格障害の治療:支持の要求には枠付けして対応を

自己愛性人格障害の治療:支持の要求には枠付けして対応を

自己愛性人格障害を持つ人は、自分の素晴らしさを映し出してくれる鏡のような存在を常に求めています。

 

患者本人は、優れた自分のイメージ、すなわち誇大な自己像に現実的な裏づけをもっていません。
実際以上に自分は優秀であるとか、周囲から高い評価を得ていると思い込んでいます。

 

そのため、誇大な自己像を裏付けてくれる人を求めます。
周囲の誰かが自分の素晴らしさを褒め称えたり、自分の成功をうらやんでくれなければ、自己像を確認できないのです。

 

この自己像を確認してくれる相手が「鏡」なわけです。
周囲の人が誰も鏡的存在にならず、誇大な自己を確認できないと、自己愛性人格障害を持つ人は、自分の存在意義を失ったような強い失望を感じます。

 

患者は、治療においても鏡的存在を求めます。
治療を受け始める際にも、障害を治療しようという気持ちから治療を受けるのではなく、治療者に鏡的存在になってほしいとか、自分の素晴らしさが本物であることを立証してほしいからと願って、受診する人もいます。

 

自己愛性人格障害に見られる際限ない要求は、赤ちゃんが母親に自分を受け止めてほしいと強く求める行動に似ています。
治療者は自立を始めた幼児に接する母親のように、患者に接することが必要になります。

 

患者が現実に持つ優れた面は積極的に褒めますが、現実の裏づけの無い側面までは褒めません。
現実に照らし合わせた枠をつけて、その枠の中で患者を支持し需要します。

 

患者の状態を読み取り、患者が治療者から受容されない不安にどこまで耐えられるかを見極め、患者の状態に応じて、自身の障害に直面化するように促します。